中距離走のコツをつかんだフォーム

中距離走の走り方は簡単ではない

全力疾走を求められる100メートル送や持久力で勝負するマラソンに比べ、中距離走はその両方の要素が混ざっており、陸上競技の中でも難しいスポーツとされています。呼吸法やフォームを身に付けるのが容易ではないだけにとどまらず、練習方法も持久力の向上と筋トレをうまく組み合わせなくてはなりません。

格闘技に例えられるほど、中距離走は過酷な競技です。スピードと持久力の双方がなければ勝てない競技であるために、自分の得意な点に頼っているためにタイムが伸び悩んでいたり、指導者も適切な練習方法を指示できずにいることが珍しくないのです。

逆に考えれば、適切なトレーニングを積めば中距離走では他の選手に差を付けやすいと言えます。伸び悩んでいる選手を尻目に記録を伸ばしていくためには、呼吸法やフォームといった技術面を磨くことと、持久力の向上や筋トレによる瞬発力の強化といった身体能力の面での練習が求められます。

コツをつかむことによって、記録が大きく伸びるケースが少なくないのが中距離走なので、できれば優れたコーチやトレーナーの指導を受けたいものです。しかし、実際には指導者に恵まれる可能性は高くないので、自らトレーニングの方法を工夫したり、情報を仕入れておく必要があります。

基本的には長距離走に近いフォームとなりますが、スピードが求められるために、それだけでは不十分です。そのため、自分がスピードタイプなのかどうかを見極めながら調整していく必要があります。

まずはマラソン選手のようなところから始めて、徐々に腕の振りや脚の上げ方を大きくして、自分がもっとも高いパフォーマンスを出せるフォームを探っていくのがよいでしょう。

中距離層の呼吸法としては、２回吐いてから１回息を吸う方法がお勧めです。これがうまく行かない場合には、２回連続で吸ってもよいでしょう。コツとしては、沢山の空気を取り込もうとするよりも、吐く方に重点を置いて、その反動で新しい空気を取り込むようにすることです。

最適なフォームや呼吸法は人によって異なります。中距離走にはダッシュとスタミナが必要なので、兼ね備えている体力の質によっても異なるためです。コーチから適切なアドバイスをもらえる環境にないのであれば、自らいくつかのパターンを試して、もっとも記録が伸びる方法を見つけていく練習が必要です。

トレーニングのメニューをこなしているだけの選手と、フォームや呼吸法の実験を繰り返している選手では、このような事情で大きな差が生まれやすいのです。練習の時から、最適な方法を探してみてください。

中距離走の練習の難しいところは、瞬発力と持久力という相反する能力をうまく融合させなくてはならない点です。100メートルのようにスピードだけでは最後までペースが持たず、マラソンのようにスタミナだけを鍛えても加速が足りません。

瞬発力を高めるために筋トレも欠かせません。スピードだけですべてが解決するわけではないにしても、十分な加速がなければ勝負をしかけることができません。

しかし、いくら筋トレをして中距離走に必要なスピードを高められたとしても、最後まで体力が続かずに失速したのではタイムが伸びません。そのため、筋トレよりは走りこみを中心に練習していくのが基本的な方向性としては適切でしょう。

スタミナを高めて最後までスピードを保てる下地を作れたら、それから瞬発力が求められます。もっとも、それだけのスタミナを付ける練習だけをするのは効率が悪いので、筋トレやダッシュの練習も並行して行わなくてはなりません。

中距離走の練習の比率としては、最初はスタミナを中心に鍛えていき、徐々に筋トレや瞬発力を高めるトレーニングを増やしていくとよいでしょう。

トップアスリートの食生活が予想外に偏っているものであると報道されることがあります。インタビューに答えていたのを聞いていたら、それほど栄養管理を厳しく行っているわけではなかったという例です。しかし、これによって食事がどうでもよいと考えるのは早計です。

食事の重要性は小さなものではありません。体を鍛えるには走り込みを初めとした中距離走のトレーニングだけでは不十分です。いくら厳しい練習をしても、それに伴って体が欲する栄養素を取り込まなければ、筋肉等が強化されるチャンスを逃すことになります。

中距離走の練習が好きと語る人もいるものの、やはり効果を得るために走りこんでいるのが通常でしょう。それなら、食事にも気を配らなければ不十分です。脂肪ばかりでビタミンやたんぱく質が不足していれば、せっかく体が強く生まれ変わるチャンスを逃すことになります。

もっとも、中距離走のパフォーマンスを高めるための特殊な食事のメニューが求められるわけではなく、一般に言われるバランスの取れた食事が基本となります。それに加え、脂肪の摂取を抑えてたんぱく質を多めにとって筋肉の発育を促すといった形で考えておくとよいでしょう。